思った通りにいかない

初心者MTGと役に立たないグラブル情報と映画の感想

ジョジョ・ラビット ドイツの戦車史を見ているようだ

「趣味はなんですか?」

色々なところで色々な人に色々な理由で聞かれる。

私はオタク柄、人に答えられない趣味が多い。

最近はオタク趣味を堂々と答える人が多いが、私は自分の性癖を晒すほど度胸がない。

遊びを知らないと思われる事ほど、恐ろしい事はないと私は思う。

人に言っても引かれず、大衆的で手軽な趣味と言うのは重要だ。

その点映画鑑賞は一般的かつ理解されやすい手軽な趣味だ。

私は月に映画館で3本。ネット配信で6本ほど映画を観る。

映画がなければ生きていけないというほどではないが、休日に予定を立てる際の優先度は高い。映画を観てる方だとも思う。

せっかく映画をたくさん観るのだから、ブログのネタにしようと思う。

一年もたつとどんな映画を観たか忘れてしまうし、記録的な役割も期待しつつ。

 

ジョジョ・ラビット

あらすじ

終戦間際のドイツが舞台。ヒトラーを敬愛し、ヒトラーをイマジナリーフレンドとする少年ジョジョ。彼は気は優しいがノロマなのび太タイプ。兵士育成キャンプで殺しの訓練としてウサギを殺すように指示されるが、ビビって笑いものに。ウサギの様に臆病な「ジョジョ・ラビット」とあだ名される。挽回を試みるが、手榴弾を足元で破裂させ病院送りに。足と顔に傷を負い、兵士になれず、ビラ配りや鉄の回収といった希望とは違う日々を過ごすことに。暇を持て余していたある日、母が隠し部屋に匿っていたユダヤ人の少女を発見し・・・と言うおはなし。

 

こんな人にオススメ

アカデミー脚本賞受賞

戦争の悲惨さで泣きたい人

演技好き

 

感想

世間の盛り上がりと高評価とは裏腹に、私としては微妙な作品だ。

イマジナリーフレンドがヒトラーと言う点は、この映画最大のウリだが、いまいち活かしきれていない。

10才の子供のイマジナリーフレンドだからしょうがないが、ヒトラーの恰好をした悪ガキに過ぎず、ヒトラー的な発言はユダヤ人を殺せぐらいだ。

多少の皮肉と滑稽な動きのみが主な活躍で、主人公の決断を左右したりすることは無いといって言い。現実に影響をあたえないヒトラーと言うのは何処か味気なく、「ナチスドイツを舞台に少年の成長を描くけど、ナチスは否定するよ!」といった予防線としか思えない。

ゲシュタポによる家宅捜索もあったが、明らかに怪しい少女を見逃すなど、ナチスドイツの出番はあまりにも中途半端だ。

 

ユダヤ人の少女は、ボーイミーツガール要員でジョジョより年上の女。又の名をアンネ・フランクもどき。

ナチスドイツ下におけるありふれた不幸と、女優の優れた演技力を武器に、少年の成長を促す。それだけ。ジョジョとの交流も、ジョジョナチスが正しいかを考えさせるようなものではなく、子供特有の残虐さの反省を促すくらいで、後は年下の弟をからかうように接するのみ。

ジョジョの成長を促すといっても、反ナチス運動をしていた女優の演技力高めの母親の死と敗戦が重要部分を占めており、彼女の役割は、彼女でなければいけないというほどのものでなく、ユダヤ人美女ならだれでもいいぐらいの活躍。

 

私の中にある戦争特需に対する反抗心

王道の1つとして、戦争における悲惨さがある。『ペルシア人』から脈々と続くこのジャンルを私はあまり好きではない。

特に昨今の作品では軍人を惡とし、主人公家族は達観した平和主義者で時代の空気に流されず、命の尊さを語りかけてくる。

本作でもジョジョの母親は平和主義者で、勇敢にも反ナチス運動に参加。ばれて縛り首という末路を辿っている。

戦争は惡という考えには大いに賛成する。だが戦争を敵とし、戦闘ではなく戦争の狂気の被害者として重要人物を殺す昨今の手法は、どうも好きになれない。

 

総評

戦争ものとしてもボーイミーツガールとしてもナチスドイツものとしても反戦映画としても、どれをとっても中途半端。ヒトラーのイマジナリーフレンドというアイデア一点突破を狙ったが、突破は難しく色々手を出した結果とっちらかり、死と恋と子供の成長という普遍の脱出口に飛び込んだ感じ。

ドイツの戦車はとびぬけて優秀だったが、細分化の結果、運用・生産共に難が出て世界最強の戦車軍団も衰退していったという話を思い出した。そういう意味では皮肉が効いてるのかもしれない。

俳優陣の演技は素晴らしく、水着のヒトラーも恐らくこの映画でしか観ることはできないので、興味がある人は観に行くといいだろう。

私ならパラサイトの2周目に行くけど。